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“きく”ってどういうこと?

①聞こえのしくみ

 音は外耳道から鼓膜、耳小骨を通ってかたつむりの殻のような形をした器官(蝸牛)に伝わります。蝸牛の内部はリンパ液で満たされており、細かい毛のような細胞(有毛細胞)が並んでいますが、音が蝸牛に伝わるときに有毛細胞が刺激で揺れると音情報が電気信号へ変換されます。その電気信号が神経を通して脳に伝わることで、音が“聞こえる”のです。
 
聞いて音を認識するまでの流れ
 

②“聞く”と“聴く”の違いは?

「聞く」…音や声を耳に感じ認める意。
「聴く」…聞こえるものの内容を理解しようと思って進んできく意。
引用:類語国語辞典(角川書店)

 日常生活上ではいろんな音が発生しています。室内であれば水道の水が流れる音やドアの開け閉めの音、テレビの音など。屋外であれば車のエンジン音や歩行者用信号機の音、緊急車両のサイレン、風が吹いた時の音…。あげだしたらきりがありません。
 いろいろな音が“聞こえる”ことは身の安全などを守るためにはとても大切ですが、日常での人とのコミュニケーションでは、会話を“聴く”力が大切といえるのではないでしょうか。
 
  

③“聴こえる”ために必要な力

 少しでも聞こえづらさを感じた場合、まずは耳鼻咽喉科を受診することが大切です。治療などで聴力が改善する可能性があるためです。補聴器などで聞こえを補うことも大切です。
 ただ、補聴器などを装用して“聞こえ”を補えても“聴こえ”ないとコミュニケーションがとりづらく感じてしまいます。では“聴こえる”ためにはどのような力が必要なのでしょうか。
 
 耳から音が入ってきた後、脳まで情報伝達する間にも音源からの位置や距離などを瞬間的に分析して処理していきます。また、脳まで届いてからも皆さんの脳が持っている様々な機能を使いながら瞬間的に会話を“聴いて”、内容を“理解”していくのです。
 
聴いて会話を理解するまでの流れ
 
脳が持っているさまざまな機能(一部)
 注意機能 
選択性注意
多くの刺激の中から特定の刺激または要素に反応する機能。
 苦手になると…
(例)騒がしい環境の中で相手の言葉が分かりづらくなる。 
持続的注意
一定の反応を維持する機能。経時的な注意を持続させる。
 苦手になると…
(例)講演会等で集中して聞き続けることが難しくなる。 
転換性注意
一定の刺激に注意をむけつつ、他のより重要な刺激に
反応することが必要な際に注意を切り替える。
 苦手になると…
(例)テレビに夢中でチャイムの音に気付かない。 
分配性注意
2つ以上の刺激ないし2つ以上の要素に注意を向ける機能。
 苦手になると…
(例)話を聞きながらメモを取ることが苦手となる。 
 
 ワーキングメモリー 
情報を一時的に保持し、操作するためのシステム。
 
言語性把持力/言語性短期記憶
言語情報を秒単位で覚えておく能力。
 苦手になると…
(例)聞いた文章の大事な部分を聞き洩らしてしまう。 

 
 情報処理 
入力した視覚/聴覚情報を「効率的に」「一定の速度で」処理する機能。
 苦手になると…
(例)早口で言われた内容が聞き取れない。 

 
 遂行機能 
様々な機能が総動員される問題解決能力のこと。
 苦手になると…
(例)聞き取れなかった言葉を文脈から読み取ることが難しくなる。 

 
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